こんにちは。宝石商の宮澤理恵です。
「20歳になったら、白くて丸いパールを母親に買ってもらう」。
……そんな大手ジュエリーブランドのプロモーションもあって、パールの入り口は「白くて丸いもの」が定着しました。
白くて丸いパール、使っていますか?
でも、その白くて丸いもの、実はすごく使いにくくありませんか?
長さは、微妙に長くて、ファッションとのバランスが微妙。
白さが際立ちすぎて「フォーマル感」満載になってしまう。
汗に弱くて、夏は着けない。
日常に使いにくくて、長く箱に入ったまま。
などなど。
おそらく、1本あれば安心な「お道具」レベルになってしまっているのでは。
冠婚葬祭のときだけ出してくる……みたいな。
そんな残念な話を何度聞いたか、数え切れません(涙)。
真珠は生き物です
店頭に並んでいるパールは「商品」として鎮座しています。
でもダイヤモンドや石のジュエリーとは違い、実はパールは、海の中で育まれる「生き物」なんです!
私が宝石商として初めて見たパールは、愛媛・宇和島の養殖場で作られたものでした。
バロックといって、丸くないごつごつした形で、色はうすいグレーの、80センチのネックレス。
そのパールを見たとき、まだ経験の浅い私でも「このパール、すごい虹色だ! すごくきれい!」ってわかりました。
それからその養殖場には、何度も足を運んで、養殖場の所長の話を聞き、船に乗って沖にでて、海の上で貝を開いてパールが産まれる瞬間を何度も見てきました。
それはそれは、艶めかしくて、力強くて、店頭に並んでいるパールとは全く別のものだったんです。
パールへの見方が変わったのは、それからです。
「いい子」風につけるのではなくて、この「強さ」や「アヴァンギャルドさ」を身に付けたい!と思ったのです。
そんな想いとともに、最初に買ったグレーの、バロックのパールのネックレスを、1年365日のうち、300日は着けていました。
あらゆる服に合わせて、研究を重ねました。
朝に、昼に、夜に。日本でも海外でも。
光の当たり方で表情がガラリと変わるので、まったく飽きませんでした。
しかも、顔色がぱっと明るくなる!
対面している人に、ネックレスをガン見される快感を、何度も経験しました(かなり気持ちイイ)。
丁寧に作られているだけあって、安くはないものですが、もう、かなり早い時期に減価償却しましたね(笑)。
私のパールは厚みがあり、汗や経年変化に左右されない堅牢さがあります。
だから、20年たった今でもお客様から「それが欲しい」って言われるぐらい、美しく輝いています。
また不思議なもので、パールの使い方に慣れてくると、白くて丸いパールも、普段から使いこなせるようになるんです。
「ジュエリーが似合う人」になってくるんですね。
日本のパールの価値は虹色の光沢にあります
日本のパールが、海外の大きなパールや、中国産の廉価な淡水パール、模造品のコットンパールなどと絶対的に差をつけられる点。
それは、虹色の出方です。
日本産のあこや貝で、日本の春夏秋冬の水温差があるからこそ、他のパールにはない、美しい虹色が醸し出されるんです。
それはそれは美しく、そしていつまでも虹色です。
まさに神様からのギフトです。
実は白くて丸いだけがパールではありません
日本のパールにも、いろんな色や形があります。
白くて丸いもの、グレーやグリーン、時にパープルに見えるバロック、黄色だってあります。
こういう迫力のパールは、ジーンズにも、皮のジャケットにも、オフィスにも、デートにも大活躍します。
40代になったら、海外のものや、フェイクパールではなく、虹色がかった本物の日本のパールを使いこなして、ファッションの「格上げ」に役立ててくださいね。
ファッションの格上げはすなわち、あなたの格上げなのですから。