真珠の種類や表記は紛らわしい!プロが教える見極め方

真珠の種類や表記は紛らわしい!プロが教える見極め方

○○真珠と表記されていると、特別な真珠だと感じることはありませんか?

様々な表記がされていますが、真珠の種類や表示の内容を知っていると、パール選びに迷わなくなります。真珠に長年携わってきた経験から、種類や表記の意味や見極め方をお伝えします。

 

「本真珠」は正式名称ではありません

×本真珠→「パール光沢の染料を塗ったプラスティックなどの真珠風のオモチャ」ではなく、「海で育った本物の真珠」という意味で使われているため、あまり意味がある表記ではありません。

真珠であれば、すべて本真珠なので、基本的に、高級店や一流店では「本真珠」という言い方はせず、特別感をもたせる際に使われることが多いだけで、品質を保証するものではありません。

テレビショッピングや安い通販などで、良さそうに思わせるために使われがちな表記です。

真珠業界では、紛らわしさを排除するために自主規制のルールがありますが、そのマニュアルでも使われることがない言い方です。

店頭に並ぶのはすべて養殖真珠です

 ×天然真珠→「天然」というと良さそうに聞こえますが、海の中で貝の中に小石などが入り、タンパク質が巻いて勝手に育った真珠のことを言います。

淡水で育つものにはまれにありますが、偶然の産物のため、きれいなものが採れることはまずありません。

せいぜい地方の土産物として並ぶ程度で、装飾品としての真珠は、すべて養殖されたものです。

花珠表示はとても紛らわしいです

 ×花珠(はなだま)真珠→もともと養殖真珠のうち、貝から取り出した瞬間にすでにとてもキレイなものが、何千個に1個くらいの割合で存在します。

生産者同士の間では、その真珠を「花珠」と言われていましたが、希少な「花珠」だけを選んでつなげてネックレスにすることは、ほぼ不可能です。

そのため、つまり、現在「花珠」と呼ばれている真珠は、単に加工の技術によって、キレイにしたものにすぎず、どういうものを「花珠」と呼ぶのかの基準も存在しません。

あえて「花珠」と言っていなくても、きれいな真珠はたくさん存在しており、業者が売りやすくするために使っているにすぎないと言えるでしょう。

もちろん、本当に素材も加工技術も高いものも存在するはずですが、わざわざ「花珠」と言われることはなく、価格も非常に高くなります。

業界基準の真珠スタンダードの中にも、存在しない言葉なので、価格が安いのに「花珠」と言っているものには、注意が必要です。

見た目を表示するものもあります

 ×黒真珠→もとから黒い色の真珠は、タヒチで採れるものしか存在しませんが、「黒蝶真珠」や「タヒチ真珠」と呼ばれています。

つまり、見た目に黒いものを「黒真珠」と俗称しているだけで、業界基準の真珠スタンダードの中にも、存在しない言葉です。

白い珠にくらべて染料によってごまかしやすく、すべての粗を隠すことができるため、どの貝からとれて、どんな加工をしているかはわかりません。

良い真珠をわざわざ黒く加工することはありませんので、粗悪品であることが大半。

大して良いものでないことをわかって、割り切って買うならよいですが、残念ながら、ただ置いているだけでも数年で色が剥げてしまいます。

「お悔やみの席では黒が良い」などと言われて販売されがちですが、そのような決まりはなく、白の真珠でまったく問題ありませんし、気になるならなしで行けばよいのです。

×オーロラ真珠→白の真珠の加工の中でもテリが強く、七色の光がオーロラっぽく見えるものを呼ぶようです。

もともと品質の良い真珠は七色に輝いているものですが、あえて「オーロラ」と呼ぶことはありません。

もちろん、中には本当に良いものもあるかもしれませんが、たとえ民間機関が発行している鑑定書にかかれていたとしても、全世界で通用する真珠選びのスタンダードではなく、あくまで俗名にすぎず、品質を証明するものでもありません。

そのような、いかにも特別感のある名前に左右されず、自分自身で納得いくまで見比べることが大切です。

無調色だからいいというわけではありません

 無調色(ナチュラルカラー)真珠→もともと貝から取り出したばかりの真珠は、少し黄みがかっているため、すべての真珠は、まず漂白加工されます。

その上で、色を揃えるために、表面に調色されるのが一般的ですが、調色される前の段階(漂白だけしたもの)の真珠を、あえて「無調色(ナチュラルカラー)」と読んでいることがあります。

もともと真珠業界では、調色(染色)は、「伝統的なエンハンスメント」と言われており、最高級の真珠であっても、調色(染色)は問題なく、逆に、無調色であっても、品質の悪いものは存在します。

つまり、「無調色」とは、真珠の種類ではなく、加工方法をあらわしたものにすぎず、「無調色」や「ナチュラル」だから良いわけではないのです。

調色を選ぶのか、無調色を選ぶかは、好みの問題。調色であっても、無調色であっても、それぞれ素材のランクによって、値段が変わってきます。

きちんと説明できるお店でお買い物を

真珠の世界には、紛らわしい表示がたくさん存在します。

いろんな名前がついていても、品質を保証するものではないので、購入の時は、キラキラな名前、イメージがつきやすい名前に惑わされることのないようにしたいもの。

実は、ちゃんとしたお店であれば、ここに挙げた「本真珠」「黒真珠」「天然真珠」といった名前は、使われていないので、そもそも、そのような名前のものは買わない方が無難だと言えるでしょう。

 知識がないまま、悪気なく販売している業者もたくさんあるので、たとえば「天然が良いのでは?」「無調色が良いんですか?」といった質問をした時に、上記のような違いをちゃんと説明ができるお店で相談されることをおすすめします。

誠実な業者さんは、変なものを売ってしまうことがないよう、きちんと勉強しているものです。

「ネーミングで高く見せて売る」のではなく、「お客様が持って安心できるもの、長く使えるもの」を扱っている信頼できるお店選びが、最初の一歩になるかもしれません。

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