おしゃれの達人はこう考える 大石敦子さん vol.1

2003年頃、ROUQUEでも取り扱いしているパールのPRとして活躍くださった大石敦子さん。

現在もパールの代理店をされ、世界のファッションの知り尽くした視点から、ファッション+ジュエリーのあり方を提案されています。

初めてお目にかかった30代だった私は、「大人だ!おしゃれだ!都会的で素敵すぎる!」と憧れと緊張のあまり、まともに会話ができないほどでした。

バーゼルのショーで、世界的な時計ブランドのプレスの仕事を、フランス語、イタリア語、英語を使い分けて、VIPをアテンドするご様子に鳥肌がたちました。

今でもさりげない着こなしにファッションへの愛を感じ今回、改めてお話を伺いました。


宮澤:ジュエリーに興味を持ったのは、いつくらいからですか?

大石敦子さん:

大学卒業後から25年間(1990年代に8年間ミラノ駐在)は、どっぷりファッション業界に浸かっていたのですが、ジュエリーっていいなと思ったのは、イタリア駐在時に町ゆく人や友達、誰もが日常的に本物のジュエリーをさりげなく着けているのを見てからです。


私自身も、それまでもちょっとしたダイヤのネックレスなどはもっていたれど、毎日したかといえば、そんなことはなかったです。


宮澤:イタリアでの日常遣いってどんなものつけてるんですか?


大石敦子さん: 

みんなピアスしてる。

どんなに小さくても、本物。おもちゃじゃない

日常的にはダイヤのちっこいのとか。

特別なときだけでなくて、ジュエリーをつけていないと裸でいるような気になるってどんな感じ??って興味深々でした。

いつも本物を着けることが新鮮だし、純粋にかっこいい!って思いました。

自分の知らない世界があるみたいでわくわくしました。

 

宮澤:たしかに。ヨーロッパの方のジュエリーの使い方は悔しいくらいかっこいいですけど、何が違うんでしょうか。

 

大石敦子さん:
文化が違うというか。

日本には、本物を日々、気軽に着ける文化がないですよね。

着物文化だし、ジュエリーを日常で着ける歴史は浅いですからね。

宝石自体に価値を見出し、代々受け継ぐヨーロッパ的な文化は日本にはないからね。

それから、本物は手入れをしながら、ずっと使えますよね。

物を大切にしながら、ファッションも楽しむという思想も素敵だなと思います。

あと、ファッションとジュエリーがセットというか、ジュエリーがあって完成する感じです。

私たちの世代から彼からプレゼントもらう文化ができてきたんじゃない。(笑)


宮澤:本物と偽物の違いってなんでしょうか


大石敦子さん:
自分の気持ちかな。

本物をつけはじめると、偽物はつけたくなくなるよね。

その程度って自分のことを思いたくないし、下取りも磨きなおしも出来ないから、ファストファッションと一緒で心が摩耗するし。

いいものって見るたびに良い。

ジュエリーは買ったときの状態が続くけど、アクセサリーは買ったときがベスト。

だんだんとくたびれたアイテムを見るのが嫌だし、安い下着と同じで肌触りが悪い。

履き着心地の悪い靴と同じ早く脱ぎ捨てたくなる。

肌に直接触るものは思っている以上に敏感だから、気持ちいいものはしょっちゅうつけるし、嫌な重さじゃない。

やっぱりフェイクはフェイク。人からどう見えるかではなくて、自分の問題。

本物のジュエリーに全く縁なく人生を終える人もいる。

でも、自分に高いもの与えちゃいけない制限を与えていたら、いい仕事なんてできないよね。


宮澤:ところで、バロックパールを知ったタイミングってなんでしたっけ?


大石敦子さん:
PRオフィスやっているときに、アシスタントの後輩が先に買っててすごく興奮して話してた。

葬式にするやつでしょ?って聞いたら「ちがうんですよー、バロックなんですよー、あこやで、なんとかで、」って。

とにかく興奮して話すもんだから、そこまでいうなら見てみたいと思った。

どうやら、私が思っているパールのイメージとは違うらしい。

バロックだったらみてみたい。

白い丸はしたくないけど、バロックだったらしてもいいかも。

そういえば、バロック着けた人みたことないし、パリに真珠専店があって、南洋のバロックは素敵だなと思ったことがあった。



宮澤:実際見て、どうでした?


大石敦子さん:
みたら、すごいじゃん!! 

パールだと思ってきたものと全然ちがう!派手!これならするわ!!

フェイクのパールには絶対に出せない輝き方!

アシスタントが強烈に良さをアピールするから、アシスタントが3連なら4本買うわ!って(笑)

グレーの7.5くらいのやつ。めちゃめちゃメタリックシルバー

毎日着けて、会う人会う人に話してた。

3か月に1回くらいの頻度で展示会をやるようになって、そのたびに違う色味や形の買った(笑)

そのままだとカジュアルすぎるので何かあるといいなというときは、パールは便利。

上質感がでて、格上げになる。

1本持ってると満足するはずのに、見るとほしくなる

2つとして同じのがないから、シャツで例えると、ちょっと襟がちがうとか、腕の形がちがうとか、人から見ると些細なことも、好きなものだったらちょっとの差で欲しくなる。

展示会にきてくれた、ファッション雑誌の編集長クラスの方々や、モデルさん、おしゃれに敏感な友人も同じようにパールの魅力にはまって取りつかれたように買っていきました。


宮澤:たくさんお持ちですが、どんな風に使ってます?

大石敦子さん:

たくさん持ってても、使い分けはしてなくて、気分次第かな。

洋服感覚で付け替えてます。

パールメインでコーデを組み立てるというより、必ず毎日してたから、使いわけは考えたことない。

仕事も、ブランドのレセプションも。

パールとダイヤは365日してていいと思ってる。

ぎらぎらでないから、さらっとできるし、ボリュームあるのに、手ごろ(ダイヤほど高くない)だしね。

今は、外出する機会も減って、カジュアル傾向が高くなってるから、さらに必要!!

格上げというより、Tシャツとジーンズだけではさすがにごはんにいけないよね。

何着けたいと思ったとき、ちっこい石がついている若い子がするようなジュエリーよりインパクトあるし、なんといってもコスパがいい!


宮澤:販売する時にどんな話してます?


大石敦子さん:
「実はパールはね、店頭に並んでるものは全部調色(ちょうしょく)っいう色をつける加工がしてあってね、、、」

とか

「パールって白で丸で葬式のときしかしないでしょ

あこやのバロックなんてみたことないでしょ、すっごいよ!!」

で人が来て売れてました(笑)

見て、首にかけたら、買う!みたいな。

ファッション業界ではちょっとしたうわさになってて、プレシャスの名品紹介に掲載されたました。

名だたるスタイリストさんにも使ってもらっていましたね。


宮澤:お客様は、どんなところが気にいっていらっしゃる感じでしたか?

大石敦子さん:

葬式一択から全方向へ、可能性を感じていらしたのだと思います。

パール自体には魅力は感じてたけど、着けやすくはなかったですから。

バロックだと気軽につけられるし、映えます。

他のパール持ってても、買いたくなちゃって、いいものを知ってる人ほど、「すごいっ!!」って、おっしゃってました。

真珠って見た目で品質を判断しにくい分、巻だの、テリだのと、評価基準を設けてるみたいですけど、ファッション業界からみれば、一般的な真珠の評価はどうでもいいんです。

きれいで着けたときにどれだけ素敵にみえるかだけ。

そういうのは、本物だし、知識があるとかないとかではなくて、見ればわかります。

どんなに評価が高くても、気に入らない、着けにくいものだったら、気分が上がらないよね。

好き!きれい!着けたい!を買った方がいいです、絶対に。